凡例
1 本書に収録した水生生物は,東シナ海(以下東海と呼ぶ),黄海並びに隣接海域に分布するものに限った。なお,済州島と長江河口を結ぶ線より北部を黄海,南部を東海とした。
2 .記載に当っては,主として以西底びき網漁業,東経128度30分以西の東海,黄海を漁場とする2そうびき網漁業,大中型まき網漁業により漁獲されるものを中心に,産業的な重要度,既往の知見の水準に応じ説明を加えた。
3 写真の大部分は,西海区水産研究所による底魚資源調査の際に調査船陽光丸で採集されたものを,直ちに撮影した。
4 魚類の学名・和名の大部分は日本産魚類大図鑑(益田一他,1984),日本産魚名大辞典(日本魚類学会編;1981),および魚類の形態と検索(松原喜代松;1955)に準拠した。頭足類については,日本近海産十腕形頭足類(イカ類)分類・同定の手引(奥谷喬司;1973)および奥谷(1985),また,甲殻類については原色日本大型甲殻類図鑑T・U(三宅貞祥;1987,'88)に準拠した。
5 学名・和名の索引は写真掲載の種のみに限った。
6 魚の地方名は西日本で主として用いられている呼称を示した。
7 種の記載配列は,原則として日本産魚類大図鑑と日本産魚名大辞典に従ったが,編集の都合上一部これらと順序が異なる種がある。
8 形態の記載に当っては,簡明に種の同定を行うことができるように図・表のほか,属の検索を示した。
9 生態の記載は,原則として東海・黄海産種の知見を基礎としたが,それらのないものについては日本周辺で得られている知見に拠った。また,多くの知見があるものは,その中から編者が適宜に選択した。しかし,成長,生殖,食性などは,海域,季節,年度,資源量の増減などによっても変動することが知られている。
10 各魚種の分布については,東海,黄海域を主体に記述した。分布図(*)は以西底びき網漁船の全船(年間えい網数約31〜39万回)および一部(同1.7万回),大中型まき網漁船の漁獲統計と調査船によるトロール操業(えい網数約1,200回)等の漁獲統計資料にもとづき作成し,環境図との比較を可能とした。また,底魚類のうち,上記以外の資料から推定した分布域は多数の小黒点で,産卵場は斜線で示した。
11 本書に用いた主な中国の地名は図に示した。
12 形態各部の名称は図および名称,略号の項に示した。なお,同一種内の記述においても全長,体長など同じ長さを示す語句でも統一一されていない場合があるが,これはそれぞれ異なった文献に従ったためである。
* 以西底びき網漁船の!網平均漁獲量から作成した分布図の単位は,トロ箱またはkgで,調査船のそれは有漁網のみの1網平均漁獲尾数で示した。また,有用種については,月別分布中心をアラビア数字で示し,実線で回遊経路を示した。