東海とその隣接海域では大中型まき網による漁獲量が最も多い。そのほか中型まき網,以西底びき網,定置網,地びき網,敷網類,釣りなど多様な漁具によって漁獲される。

マアジの漁場は1959年ごろまでは沿岸・近海域に形成されていた。1958年に一部の漁船が東海沖合域で試験操業を行い,東海中部で大・中アジを大漁したことによって翌1959年からこの方面での本格的な操業が始まった。さらに,同年秋に黄海の漁場が開発されるに及んで,多くの漁船がこれらの沖合漁場に出漁するようになった。この頃漁船は大型化し長期間の航海が可能になったこと,および従来の綿網にかわって化繊網が導入されたことなどによって,沖合のマアジ漁は全盛期を迎えた。漁場の拡大にともなって漁獲量も急増し,近海マアジ漁時代の10万トン台から30〜40万トンに達するようになった。しかし,黄海漁場は開発後わずか4年で衰微し,またマアジの最も中心的な漁場であった東海中部漁場でも,黄海漁場より2,3年おくれて漁獲量が減少してきた。このため,漁船はさらに漁場を拡大し,1965年ごろから東海南部漁場に進出してマアジの生産を維持したが,この南部漁場も進出後数年で衰退した。漁獲量も1967年に急減した後約10万トン以下の水準となり1980年には1万7千トンと全盛時の5%以下になった。

現在ではマアジは対馬,五島周辺と東海南部で主に漁獲されている。まき網の対象魚のうちで最も高価な魚であるため漁業の強い圧力を受けやすい。

塩干物として利用される。豊漁時代には大衆魚として親しまれたが,近年では漁獲量の減少によりむしろ高級魚となった。とくに釣りで漁獲されたものは刺身用として珍重され,魚価は極めて高い。 


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