• 頭は大きくて縦扁し,幅広い,胴・尾部は頭部に比べ,細くて短い。
  • 上顎外側歯数は約26本で,前上顎骨前端から後端にかけてほぼ連続してならぶ。内側歯は17本前後で,最後の歯は前上顎骨中央部より後方まで生えている。下顎歯は前方が3〜4列,後方が2列。
  • 口内底(舌部)には多くの白色斑紋が散在するが,成長にともない地色が薄くなるため斑紋も不明瞭となる。
  • 上膊棘(humeral spine)は胸鰭基底の上方(背面)にあって斜後方へ向って突出し,その先端は2叉する。また,同棘中央部付近に1本,基部に2本の小棘が派生する(キアンコウの項参照)。
  • 脊椎は血管棘を有する第4〜5番目の椎体から背方へ向って僅かに湾曲して並ぶ。脊椎骨の総数は18〜19。
  • 本種は通常,全長25cm位であり,30cmを超すのは稀と思われる。

本属は本種のみである。本属は,鰓孔が胸鰭の下方および後方に位置し,上膊棘の先端が2叉する。また,背鰭数 −8〜9;臀鰭数6〜7;胸鰭数は22〜23;腹鰭数5である。これらの形質のいずれかで,ヒメアンコウ属Lophiodesおよびキアンコウ属Lophiusと区別される。

北海道以南の日本各地,東海,インド・西太平洋域に分布する。以西漁場における本種は 東海に広く分布するが黄海にはほとんど生息しない。冬期にはクチミノセ西方から南部にかけての沖合にみられるが,4〜5月には西方の温州湾沖合およびその南部海域に向って移動する(キアンコウの項参照)。この移動は時期的にみて産卵のためではないかと考えられる。
秋期(10〜11月),東海におけるアンコウは水温17〜20℃の水温帯で多獲される。漁獲量はこの水温範囲から1〜2℃上下にずれると極めて低下する。一方,キアンコウは水温6〜13℃の範囲で漁獲されるが,最も多獲されるのは9℃前後である。なお,秋期,東海におけるアンコウは12℃以下,キアンコウは13℃以上の水温になるとほとんど生息していない。また,同時期におけるアンコウは水深55m〜150m(最多漁獲水深75〜85m),キアンコウは50〜100mの範囲で漁獲され,生息水深の上限には両種に明らかな違いがある。


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