![]() 瀬戸内海における本種の1〜7年までのそれぞれの全長は17,27,36,46,51,59cmである(前川・松清1961)。岩手県沿岸のものもほぼこれに近い成長をする。しかし,千葉外房・内房海域や相模湾のものは1年で全長30〜32cm,2年で41〜45cm,3年で51〜57cm,4年で59〜61cm,5年で67〜76cm,6年で73〜83cmとなり成長がよい(石田ら1978)。また,東海のものは各年齢とも瀬戸内海のものより4〜5cm大きいといわれる。 産卵期は3〜5月を中心に,南部海域では早く,北部海域では遅くなる。産卵は数回に分けて行われる多回産卵現象を示す。本種の雌は,まれに体長30cmで成熱するものもみられるが,一般には体長45cm前後で成熟する。雄の成熟体長は,雌より10cm前後小さい 。 卵は径0.8〜1.0mmの球形で,1個の油球(径0.15〜0.18mm)を有する球形分離浮性卵である。卵の表面には微細な点が散在する。 全長6.46mmでは背鰭前端部鰭条のうち3条がよく分化する。黒色素胞も増加する。筋節数は12+26=38。 成魚は水温が15℃以上になると接岸し,浅海域で産卵する。ふ化率は水温15〜20℃で最も良く,10℃以下と25℃以上では極めて悪い。畸形率は水温10℃で53%,24℃で83%,最小は14℃で12%である。また,人工採苗したヒラメでは体色異常や脊椎骨異常が多量に出現するが,成長に伴い着色域が拡大する体色異常では,有眼側,無眼側共に着色した部位が円鱗から櫛鱗に変る。この体色異常個体は正常個体に比べ,脊椎骨異常を起こしている割合が約2.5倍と多い。
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