• 第1およぴ第2背鰭の基底両側には有棘楯状骨板が24〜26対並ぶ。
  • 吻はやや長く,前端はわずかに凹み,両側先端に数個の小棘がある。その最外側のものはやや大きい。
  • 胸鰭の最長遊離軟条は腹鰭の後端に達しない(眼径ほど短い)。
  • 第1背鰭棘は第2棘が最も長く,ほぼ体高に等しい。
  • 両眼隔域にはほとんど凹入がなく,大型魚は逆に凸出する。吻部も成長にともない隆起する。両眼間隔は眼径とほぼ等しいかわずかに広い。
  • 口は下位で,下顎は上顎下におさまる。両顎および鋤骨には絨毛歯があるが,口蓋骨にはない。
  • 体の背面は赤く,腹部は淡(白)い。第1背鰭の後半部に深紅色の大きな斑紋がある。胸鰭内面は一般に全体が赤橙色〜赤色で,斑点も模様もない
  • 全長30cm以上に達する。

*オニカナガシラの項脚注参照

本邦近海産カナガシラ属は10種ほどが知られている。本属は第1およぴ第2背鰭の基底両側にそれぞれ1列の有棘楯状板がある。側線鱗は70枚以下で,吻の両端は幅広い三角状または細長い棘で,一般に多くの付属棘を伴っている。体色は赤いなどの特徴をもつ。種の検索はオニカナガシラL.kishinouyeiの項に,胸鰭内面の特徴についてはソコカナガシラL.abyssalisのところに示したので参照されたい。  

本種は北海道南部から本州各地の沿岸,渤海,黄海および東海に分布する。以西漁場では晩秋から冬にかけて渤海,鴨緑江沖合(西朝鮮湾北部),およぴ江蘇省の海州湾から南下来遊し,35°N線を中心とする海域で3月ごろまで越冬のため滞留する。この群は33°N以南には南下しない。また,大型魚は深所で,小型魚は浅所で越冬する傾向がみられる。その後は北上移動を始め,5月海州湾や山東高角沿岸に一部を残し,3〜6月には大半が北に去る。このほか,対馬,壱岐,五島沿岸の島嶼の近海にも若干分布する。


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