本種の寿命は1年と考えられている。7月にふ化したものでは,ふ化後約100日で貝殻(Shell length)5〜10(7)cm,200日で,10〜15cmとなり,その後の成長は著しく鈍くなるといわれる。

本種の産卵期は東海で5月上旬〜6月上旬,韓国の群山で5月下旬〜6初旬,黄海で6〜7月である。産卵は水温15〜20℃で内湾,島しょ付近の岩石,沈木あるいは,海藻が繁茂した水深2〜10mの所で行われる。
本種は他のコウイカ類同様,産卵・交接に先だち,ディスプレイをすることが知られている。すなわち,雄は第1腕を高く掲げ雌に接近する。このときは外套膜背側の縞模様,鰭基部の白線が鮮明となる。このディスプレイの目的は主に競争者の雄に対しての示威行為と考えられ,水槽中に1個体だけ収容された場合は,このような行動は見られない(奥谷1979)。

交接姿勢は人間が両手の指を組み合わせたような型である。コウイカ類では雄同士の仮性交接もしばしばみられる。産卵は交接後ただちに開始される。韓国産コウイカの産卵数は外套長12〜15cmで,2,000〜2,500粒である(大阪水試1969)。

産卵直後の卵嚢径は15〜21mmX12〜14mm(卵黄は4.28〜4.99mmX3.21〜3.56mm)の半透明乳灰色ゼラチン状で,1個ずつ,岩,海藻,沈木などに産付けられる。その後,卵嚢は時間の経過と共に小さくなり(8×7mm),弾力(硬くなる)を生じ,その表面に小砂粒,浮泥等を付着して泥褐色となる。しかし,胚体の発育に伴って卵嚢は再び大きくなり,ふ化直前には短径9.2〜11.2mmの球形となる(山本1942)。
産卵後ふ化までの時間は水温17.3〜22.8℃で,29〜34日である。
ふ化直後の仔魚は外套部背面の長さ4.50〜4.99mm,幅4.28〜4.72mmで,腕長順位は第4腕が最も長く,第1腕がこれに次ぎ,第3と2腕の長さはほぼ等しい。卵黄は完全に吸収されている。鰭は外套の左右両側においてその後端より約4/5の部分にわたって存在する。背部は暗紫褐色〜淡灰色で鰭は淡くほとんど透明。外套部の背面上にはその前縁にほぼ平行し6列約40個の濃褐色〜暗褐色の色素粒がある。そのうち,24個が特に顕著である。この色素粒は拡大時に明瞭で,縮小時は不明瞭となる。

 

*他の報告では,これより大きく,外套長5.1〜6.4mmとされている。


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