平成17年度西海ブロック水産業関係試験研究推進会議報告書


 
会議責任者  西海区水産研究所長 


1 開催日時及び場所 日時 平成17年12 月19〜20日
場所 西海区水産研究所 大会議室(長崎市)

2 参加者所属機関および人数 13機関  35名


3 結果の概要
議  題
結 果 の 概 要
挨拶 ・所長から次期中期計画や組織の見直し等の動き、及びこの推進会議の位置づけと役割等を含む挨拶があった。
・水産庁漁場資源課丹羽生態系保全室長から予算の見通し等を含む挨拶があった。

座長選出 ・座長として、川崎沖縄県水産試験場長と当所北川企画連絡室長(以下、企連室長)の二人が選出された。

議事
1.報告事項
1)情勢について イ)水産庁研究指導課町口研究企画官より以下の情勢報告があった。
@水産庁関係(予算関連、大型クラゲ対策、アサリ資源全国協議会、地域水産加工技術セミナー)
A農林水産技術会議関係(プロジェクト研究、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業、農林水産・食品分野民間研究推進事業)
B総合科学技術会議関係(第3期科学技術基本計画、平成18年度科学技術関係予算、独立行政法人の科学技術活動の把握・所見取りまとめ)
ロ)松里理事より水産総合研究センター第2期中期計画(案)の概要等について報告があった。
ハ)所長から以下の情勢報告があった。
@東シナ海の漁業動向はノリ類の増加により海面漁業・養殖業の生産量は前年を上回ったが、依然として厳しい環境にある。
A農林水産業をめぐる食料産業の構造改革、自然循環型社会の構築・バイオマス戦略、都市と農山漁村の共生・対流等の推進。
B総合科学技術会議の動きと関連して、科学技術政策、科学技術振興調整費の動き、地球観測の推進戦略等について。
C独立行政法人に関する総務省政策評価・独立行政法人評価委員会の指摘、水研センターの次期中期計画について。
D当所の中長期的研究開発の方針、次期中期計画で取り組む研究課題案、成果等の公表・プレスリリースの取り組みについて。
ニ)西海ブロック7県の試験研究機関の長から、@各県における情勢(組織改編の動向と問題点、予算、人員等)、A試験研究に係わる動向(新規事業、重点研究項目、トピックス、特許、調査船の運航)等に関して「三位一体の改革」に基づく財政状態の厳しさを反映した報告があった。
ホ)本部栽培漁業部から、平成17年度の技術開発等及び平成18年度以降の技術開発の進め方等について報告があった。
ヘ)日水研、瀬戸内水研、養殖研から、専門特別部会と部会の報告、主要な研究成果、次年度の主要な研究計画、等について報告があった。

2)西海ブロック水産業関係試験研究推進会議部会報告
イ)各担当部長・支所長から平成17年11月10〜11日に開催された漁業資源部会・海洋環境部会合同会議、海区水産業研究部会、亜熱帯水産業研究部会の4部会の概要が報告された。
ロ)有明海・八代海特別研究部会
担当部長から本年度の付託事項への対応結果等についての報告があった。

2.協議事項
1)試験研究の体制の現状と問題点に関すること
・亜熱帯水産業研究部会の持ち方について
石垣支所長から、平成18年度に亜熱帯水産業研究部会で協議する事項の説明が行われた。背景として、@構成機関・出席者の減少、A当部会の他の3部会との性格の違い、B「南西諸島栽培漁業技術連絡協議会」との仕分けの必要性の3つが上げられ、それを受けて、協議事項は、@部会単独開催を見直し、他の部会と合同会議を開催する、A併せて、新たに研究会を設置して個別の問題に機動的に対応する、B他の類似会議との仕分けを行い、連携・協力を強める、Cさらに行政部局との新たな情報交換の場の設定を検討するの4点について提案があった。提案内容についての質疑応答及び協議の結果、研究会の積極的な活用を念頭に、合同会議を開催する方向で本提案を部会で検討し、その結果を次年度の本会議で確認することとした。

2)試験研究の重要事項に関すること
・平成14〜16年度の研究ニーズ(ニーズ)に対するフォローアップと今年度ニーズへの対応について
主な内容が各部会担当の部長・支所長から報告され、その内容について検討した。結果は以下の通り。
イ)漁業資源部会
@「日本海南西海域で操業する沖合底引き網漁業に関する調査の充実」については、水研センター開発調査部と協力し、当所が助言を行っており、山口県の要請により当所より委員を派遣していること、18年度以降、県単から包括的資源回復計画(広域型)として対応予定であることから、ニーズとしての協議は終了することとした。
A「資源回復計画策定に伴うモニタリング調査の充実」については、予算的措置を各県及び水研センターから水産庁に働きかけを行っているが、引き続き機会を捉えて行うこととした。
ロ)海洋環境部会
@「海洋環境変動機構の解明」については、定線観測に関するアンケート調査を実施し問題点の共有化を図った。今後は各県で引き続き海洋観測のための予算措置に努力するとともに、要望を水産庁へも伝えることが報告された。
A「海域環境の変化に伴う生物生息状況の変化の状況把握」については、漁海況予報会議の中で特異現象として、生物生息状況の変化に関する情報交換、意見交換を行ってきた。今後も漁業資源部会と連携をとりつつ、漁海況予報会議の場を通して状況把握を継続することとした。
B「沿岸海域の水産にとっての最適水質環境に関する研究」については、ブロック内の実態把握を行うために各県の情報を収集し、当所が取りまとめを行うこととした。
C「有明海・八代海漁場環境の長期予測およびその対策」については、海区水産業部会と連携をとりつつ、当面漁海況予報会議生産力分科会で観測点の調整を含め調査研究内容の見直しについて議論を行うこととした。
ハ)海区水産業研究部会
@栽培関係の多くのニーズをまとめ、「最適放流手法を用いた東シナ海トラフグ資源への添加技術の確立」として西海ブロックと瀬戸内ブロックの県がともに参画するWGを立ち上げ、平成18年度の「先端技術を活用した農林水産研究高度化事業」(高度化事業)への応募のための作業を進めていることを確認した。
A藻場、磯焼け、磯根資源に関するニーズについては18年度魚介類研究会で情報交換を行い対応することを確認した。
B「グミ・ガンガゼの駆除方法の確立と有効利用」については、平成17年度の高度化事業に応募したが不採択となった。その後、当所のシーズ研として福岡県、佐賀県と共同・協力して「玄界灘におけるグミ高密度個体群の生態の解明」として取り組んでいることが報告された。
C「ノリの全国担当者会議の開催の要望」については、協議の結果、技術交流会的な内容の会議を開催する方向で取り組むことを確認し、開催方法については水研センター本部と協議して決めることとした。
ニ)亜熱帯水産業研究部会
@「熱帯性ハタ類の増養殖」については、琉球大と沖縄水試、西海水研石垣支所が共同して、平成17年度の高度化事業に応募し、採択され、研究を開始した旨の報告があった。
A「ヤイトハタに対するイリドウイルス感染症不活化ワクチンの開発」については、水産養殖関係試験研究推進特別部会へ受け渡した。なお、既にワクチンは開発が終了し、マダイ、ブリ類及びシマアジで使用が承認され市販されており、ヤイトハタにも効果が期待でき、適用する種の拡大についてはメーカー側の課題となることから、本ニーズへの取り組みは終了することとした。
B「ハタ類(スジアラ)の種苗生産における初期減耗防除」については、八重山栽培漁業センターが、スジアラの初期摂餌で重要な環境要因や給餌方法等について情報提供や研修等の受け入れが可能であることを確認し、研修については希望者を受け入れる方向で対応することとした。
C「沖縄県在来および外国産クビレヅタのDNA解析による分類学的研究」については、石垣支所が他機関の研究者と連携・協力し、分類学的研究へ取り組むこと、沖縄水試が実施する研究と連携すること等、関係者間で具体的に対応策を検討することとした。

3)その他必要と認められる事項に関すること ・研究成果情報について
平成17年11月の各部会での議を経た研究成果情報に関して、16の素材のうち、水産養殖関係試験研究推進特別部会で対応する2課題と取り消し1課題を除く13課題(水試が9課題、水研セが4課題)に関する検討・評価を行い、当ブロックの成果情報として承認した。また、水産養殖関係試験研究推進特別部会で扱うことになった2課題について養殖研から既に承認された旨紹介があった。

3.その他 ・閉会にあたり所長から、各県から提案された研究ニーズ等への対応に関連して、西海ブロックとして情報交換しながら適切に取り組むことを述べた。


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