研究トピックス No.5
熱帯・亜熱帯域特産種シロクラベラの資源回復を目指して
シロクラベラは、西太平洋の熱帯・亜熱帯海域に分布する全長が1 mに達する大型のベラ類で、日本では奄美諸島や琉球諸島のサンゴ礁域に生息しています。沖縄県では三大高級魚の一つとされ、主に潜水漁業で捕獲されて高値で取引されていますが、近年は乱獲や生息環境の変化などで資源量は減少傾向にあります。そのため、沖縄島北部や石垣島では漁業者による漁獲制限が自主的に行われるようになりました。
西海区水産研究所石垣支所は沖縄県水産海洋研究センター石垣支所と協力して、平成18年からシロクラベラの資源回復に向けたプロジェクト研究を実施し、天然稚魚の生態の解明や、陸上施設での種苗生産技術の向上、そして生産した人工種苗を用いた放流試験を行っています。今年はこれまでに明らかにされた天然稚魚の生態に基づき、海草藻場より岸側のガラモが生育する極浅海域で小型種苗の試験放流を行い、生残や成長、摂餌などに関するデータを取得しました。その結果、ガラモ場はシロクラベラ稚魚の生残・成長を高める上で重要な場であることが示唆されました。得られた結果は、本種の資源添加技術の開発や成育場の保全に役立てていきます。
図1 シロクラベラ成魚(オス、全長69.5p)
写真提供:沖縄県水産海洋研究センター 太田格 氏
図2 試験放流を行った石垣島名蔵湾の極浅海域の干潟時の様子
(白い箱状の物は試験に用いた囲い網で高さ80p)
図3 石垣島名蔵湾の海藻藻場で採集された様々な稚魚 (右下がシロクラベラ、全長約3p)
図4 ガラモに隠れる放流稚魚 (全長約1.5p)
図5 稚魚の餌となるガラモ葉上性のヨコミジンコ類
(ハルパクチクス目カイアシ類、体長約0.3o)
図6 着底期稚魚の隠れ家や餌場として重要なガラモ
(褐藻ホンダワラ類)
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