• 尾部両側の下縁にある皮褶は幅狭く不顕著で,その前端は第1背鰭起部下に達するにすぎない。
  • 吻はやや突出し,外から認められる強固な吻軟骨に支えられている。成魚の吻長は頭長の半分またはそれ以下である。体盤幅は尾部長の1.6倍以下。
  • 尾部正中線には雄では1列,雌では3列に並ぶ鋭い肥大棘がある(幼魚では1列にならぶ肥大棘はあるが,小棘はない)。
  • 尾部両側には発電器がある。
  • 体盤背面は暗褐色で,それより淡い大小不規則の円形斑紋がある。腹面は暗灰色。

ガンギエイ属の吻は外部から認められる吻軟骨で支持され,吻の先端と胸鰭の輻射軟骨の前端とは著しく離れている。尾部両側の発電器官は尾部中央を越えて前方に達するなどの特徴をもつ。
本邦近海域の本属にはガンギエイR.kenojei,モヨウカスベR.acutispina,イサゴガンギエイR.hollandi,メダマカスベR.macrophthalma,コモンカスベR.porosa,クロカスベR.fusca,ツマリカスベR.schmidti,テングカスベR.tengu,メガネカスベR.pulchra,キツネカスベR.macrocauda,ゾウカスベR.gigasなどが知られている。このうち,以西漁場で一般にみられるものは,イサゴガンギエイ,ガンギエイ,モヨウカスベおよびコモンカスベの4種である。この4種の識別についてはイサゴガンギエイの項に記したので参照されたい。

本種は青森県以西の日本沿岸,黄海,東海,朝鮮半島西岸に分布する。以西漁場における本種の回遊経路は明確でないが,秋ごろ黄海北部の各沿岸から南下し,済州島西部から南部海域で越冬する。その後,春〜夏にかけては北へ向い呂四洋沿岸(江蘇省),朝鮮半島西岸,山東半島南岸の浅海へ向かうものと考えられる。また,本種は31゜N以南での漁獲は少なく,北方系のエイであることがうかがえる。


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