有明海における既存の海表面クロロフィルa(Chl.a)実測値を用いてSeaWiFS海色衛星画像の検証を行い、佐賀県水域及び熊本県地先沿岸水域において海色衛星画像の有用性を示した。一方で有明海ではごく短時間でChl.aの分布が大きく変動し得ることも明らかとなった。 |
年度冬季の有明海において、珪藻赤潮の発生と栄養塩濃度の低下に伴う養殖ノリの色落ち現象が大きな社会問題となった。海色衛星は海表面のクロロフィルa濃度以下Chl.a
を広域かつ時系列で入手可能なことから、植物プランクトンの分布状況を把握する有効な手段の一つである。しかしながら、典型的な強閉鎖性浅海であり、多くの大型河川から堆積物が流入する有明海においては、外洋域に比べて衛星によるChl.a推定値の精度が低下することが予想される。そこで、有明海において船舶観測より得られたChl.a実測値と海色衛星によるChl.a推定値との比較を行うとともに、Chl.a実測値の時空間変動について検討した。
[成果の内容] 各機関での現場観測値の取得数、観測時期、衛星画像の検証データ数を表1に示した。海色衛星画像データは、NASDA/EORCで処理・公開されているもの(SeaWiFSLAC-AREA 10 image)を使用し、船舶観測位置のピクセルを中心とする計9ピクセルの平均値と現場観測値との比較検討を行った(図1)。
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[成果の利活用・普及、問題点等] 有明海における植物プランクトンの分布状況を把握する手段として海色衛星データの有用性が示唆されたが、河川の影響がある浅海域では過大評価となる可能性があり、さらに検証を進める必要がある。また、その利用に際しては潮汐等に伴う短期変動にも注意する必要がある。 |
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