独立行政法人 水産総合研究センター 西海区水産研究所
プレスリリース
絶滅危惧種のドウクツミミズハゼを35年ぶりに確認!
 
水産総合研究センター西海区水産研究所 企画連絡室

 環境省及び長崎県の絶滅危惧種TAに指定されているドウクツミミズハゼ(ハゼ科 ミミズハゼ属)1個体が6月18日に発見されました。五島市内の男性から、これまでに見たことがない魚が見つかったと、水産総合研究センター五島栽培漁業センターに持ち込まれたもので、当所東シナ海漁業資源部の青沼佳方主任研究官が調べた結果、ドウクツミミズハゼであることが確認されました。

 ドウクツミミズハゼは日本産ミミズハゼ属10種の中の1つで、1931年に島根県大根島で初めて採集され、1940年にイギリスのC.T.Regan博士によりLuciogobius albusと命名し発表されました。その後、京都大学の松原喜代松博士が「魚類の形態と検索」の中で「ドウクツミミズハゼ」の名を提唱したのは1955年のことです。

 本種は島根県の大根島と長崎県五島列島の福江島の溶岩性洞窟だけから生息が確認されていましたが、大根島ではすでに絶滅したと考えられており、福江島でも1970年代以降採集の記録がありませんでした。長崎県自然保護課では2002年12月及び2003年6月に福江島で現地調査を行いましたが生息は確認できなかったので、すでに絶滅した可能性があるとも考えられていました。

 今回発見された場所は、これまで報告されていた洞窟からではありませんでしたが、ドウクツミミズハゼがこの地域で生息していることが確認されたことになります。

 このドウクツミミズハゼは、千葉県立中央博物館 海の博物館に送り、ビデオによる生態の撮影や外部および内部形態を精査した後、DNA鑑定を行った上で、国内で10個体目の標本として保存され、今後の研究材料に用いられることになります。



今回発見されたドウクツミミズハゼ(写真:共同通信社 提供、転載不可) 

ドウクツミミズハゼ