今年7月から八重山諸島石垣島周辺海域において晴天と高水温が続いたため、造礁サンゴから共生藻が抜け出し、やがてサンゴに死をもたらす白化現象が起きている(図1)。その実態を調べるため、石垣島と西表島の間に広がる石西礁湖にて、8月20日から27日の間、同サンゴ礁の26地点でコドラート法により潜水調査を行った。
その結果、全地点でサンゴの白化が確認された。白化したサンゴの割合は63〜100%で、そのうち、すでに死亡していたか完全に共生藻が抜けた重度の白化がみられたサンゴの割合は8〜95%であった。白化の程度は調査地点によって大きく異なり、石西礁湖北側の外洋に面した地点、および西表島と小浜島の間のヨナラ水道や竹富島西側の水路部など潮通しの良い地点では、共生藻が幾分残っている軽度の白化のサンゴの割合が高かった。これに対し、石西礁湖の小浜島の東、中央部から南側にかけての礁池においては重度の白化のサンゴの割合が高かった(図2)。また、同じ地点でも直射日光を受けるサンゴの表側ほど白化の程度は重度であった。
8月上旬以降海水温は下降傾向を示しているが、白化の程度が重いサンゴは回復せずに死亡する可能性が高く、竹富島東の地点ではすでに15%のサンゴが死亡している。地球温暖化が進み、サンゴの白化が頻発することが予想される。今後とも、白化状態をモニタリングするとともに、白化がサンゴ礁生態系に及ぼす影響について調査する予定である。
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図1 黒島北部の離礁でのサンゴ白化
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図2 石西礁湖におけるサンゴ白化状況
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本件問い合わせ先:
独立行政法人 水産総合研究センター
西海区水産研究所 生態系保全研究室長 澁野 拓郎 TEL: 0980-88-2865
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