独立行政法人 水産総合研究センター 西海区水産研究所
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 東シナ海北部陸棚域で採れた稚仔魚

 2007年5月九州西方沖〜大陸棚域での稚魚採集調査により、LCネット(稚魚採集用の網)で採集された稚仔魚です。これらの稚仔魚は、この海域に生息する魚の一員として、エサあるいは競争相手など何らかの形で、価値の高い魚と関わっています。これらの稚仔魚を含む多種多様な生物を調べることにより、海の生き物の生態系が一歩ずつ解ってきます。

写真1
(写真-1)ホタルジャコ(学名:Acropoma japonicum) スズキ目ホタルジャコ科

 名前の示すように「光る魚」です。発光バクテリアが共生する発光腺を持ち、腹側の筋肉が半透明で光を発散させるレンズの働きをして、青白い光を出します。最大でも全長15cmと小型なため、食用魚としての価値は高くありません。しかし、東シナ海では大量に生息し、ワニエソ、タチウオ、キントキダイのエサとして重要な魚です。

 

 

写真2
(写真-2)テンジクダイ(学名:Apogon lineatus) スズキ目テンジクダイ科

 大きな眼と口をもつ小魚(ふつう全長10cm以下)で、約10本の「横じま」が特徴です。(間違いやすいですが、背骨に平行なしまを縦じま、垂直なしまを横じまといいます。ヒトでいえば、服の横じまが背骨に垂直なことと同じです。)本種を含むテンジクダイ科の魚のオスは、メスの産んだ卵をふ化まで口のなかに入れて守る性質があります。テンジクダイも、ワニエソ、タチウオ、キグチのエサとして重要です。

 

 

写真3
(写真-3)フウセイ(学名:Larimichthys crocea) スズキ目ニベ科

 本種を含むニベ科の魚は、背びれの付け根が前後に長いこと(頭部のすぐ後ろから尾びれの付け根近くまで達する)などが特徴で、グーグーとうなるような声を出すことでも知られています。写真は体長4.5 cm の稚魚ですが、成魚だと体長30cm 以上になります。水産資源として重要で、肉は美味です。

 

 

写真4
(写真-4)アナゴ科の1種のレプトセファルス幼生(学名:Congridae sp.) ウナギ目アナゴ科

 ウナギ・アナゴ・ウツボなどは卵からふ化した後に、半透明で薄い柳の葉のような形をした「レプトセファルス幼生」と呼ばれる時期を経て成長します。これが後に変態して、細長いヘビのような形の魚になります。

 

 

写真5
(写真-5)アブオコゼ(学名:Erisphex pottii) カサゴ目イボオコゼ科

 ずんぐりした体型で、体の表面はザラザラした手触りです。口は上向きで、ほとんど垂直に開きます。眼の前下方に2本、鰓ぶたに4本の鋭いトゲがあります。

 

 

写真6
(写真-6)アカウオ(学名:Ctenotrypauchen microcephalus) スズキ目ハゼ科
 細長い形で、一見アナゴの仲間のように思われるかも知れませんが、実はハゼの一種です。眼は退化して小さく、皮膚の下に埋もれています。比較的浅い海域の、泥の中に生息します。

 

 

(問い合わせ先:海洋動態研究室・支援研究員 星野浩一)