SKED 我が国の魚類生産を支える黒潮生態系の変動機構の解明

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蒼鷹丸航海報告

図1.水産総合研究センター中央水産研究所調査船蒼鷹丸

2013年4月16日から24日に、水産総合研究センター中央水産研究所の蒼鷹丸(図1)による、黒潮域調査航海を行いました。SKEDからは、齊藤、岡崎、宮本、日高、小松、廣江、長井、平田が参加し、また鈴木研究室の杉江恒二さんも乗船しました。

図2.調査観測点. 矢印は黒潮の位置.

調査は、御前崎および房総半島沖で黒潮を横切るSOライン、およびSBラインにおいて行いました(図2)。

今航海の特徴の一つは、化学および生物学的調査に加え、黒潮の流動構造や鉛直的な物理構造を明らかにするため、通常の有線式CTDに加え、投げ込み式CTD(図3)や乱流計(図4)による詳細な物理観測を行ったことです。この観測によって得られたデータを用い、亜表層から表層への栄養塩の供給機構に関する解析を行う予定です。

図3. 投下式CTD.

図4. 乱流計および乱流計先端のセンサー

御前崎沖のSOラインでは、黒潮流軸(矢印↓)北側の黒潮内測域で栄養塩濃度および植物プランクトン濃度(クロロフィル濃度)が高い一方、流軸の南側(外側域)では栄養塩が枯渇し、クロロフィル濃度が低いという、黒潮域における典型的な栄養塩と植物プランクトンの分布様式が観察されました。 一方、房総沖のSBラインでは、表層においても硝酸塩が0.2~1 mM程残っており、また、クロロフィル濃度が内測域よりも外側域や流軸付近で高い傾向が見られました。流軸から外側域にかけての高い植物プランクトン濃度がどのような機構によって供給された栄養塩によって支えられているかを、今後検討する予定です。

図. SOライン(左)およびSBライン(右)におけるクロロフィルおよび硝酸塩濃度の鉛直断面図.

航海では、表層多項目ブイ(左上)およびセジメントトラップを漂流させ、黒潮流軸上での物理・生物パラメータの連続観測および沈降粒子採集も行いました。漂流系投入後に大時化となりましたが(左下)、蒼鷹丸乗組員の活躍で回収することができました(右)。

観測風景

ツインノルパックネットによるプランクトンの採集

MOHTによる稚仔魚の採集

ネット観測中

CTDによる物理観測および採水

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黒潮生態系変動

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